小学校の宿題③「小さな変化でとても楽になったこと」

小学:低学年

前回までの記事では、「小学校の宿題が苦しかった理由」と「発達検査でわかった原因」を書かせていただきました。

今回と次回で、
「苦痛だった宿題をどうこなしていったか」と同時に
「漢字の定着のための工夫」
についても書いていきたいと思います。
すごい秘策みたいなものがあったわけではありませんが、ラズくんには大きな変化がありました。

宿題の苦痛「期限」と「量」への抵抗感

ラズくんは「処理速度」が低く、繰り返し作業することへの苦手さがあるので、作業スピードに配慮が必要だということが分かりました。
手先の不器用さや、形を捉える力(視空間領域)の弱さもあるので「漢字を書く行為」自体が苦手であり、時間がかかってしまうのだと思われます。

「作業スピードが遅い」ということは「量をこなせない」ということに繋がります。
したがって、多くの課題を前にすると「できない」と怯んだり、強い苦痛を感じてしまう様子が見られました。
今回は、そのあたりへアプローチした内容となります。

①期限への抵抗感

通級に通い始めると、通級の先生が授業の様子を見学したり、担任の先生と面談したりと、学校と連携を取ってくださいます。
そんな中、宿題の出方にある変化がありました。

3年生になって担任の先生が変わったので、たまたまの変化だったのか? それとも漢字の宿題が苦痛なラズくんに配慮してくださったのか?
はたまたクラスメイトのお母さんの「保護者会での文句(前回の記事を参照ください)」が影響したのかは分かりませんが……

宿題の提出までに「数日間の余裕」が設けられるようになりました。
今までは「明日提出」という宿題が出されていましたが、「○曜日まで」と、3日前くらいに出されるようになったのです。

トータルの宿題の量は変わっていないように感じましたが、期限が延びたことがラズくんの気持ちを楽にしたようで、宿題への拒否反応が激減しました。

ラズくんは、確かに漢字を書いたり、消して書き直したりすることに、他のお子さんよりも時間がかかっていたと思いますが、宿題に費やしていた時間の大部分は、なかなか取りかかれずに苦しんだり癇癪を起こしたり泣いたりする「拒絶反応」でした
それがなくなったことで、宿題がすんなりと終わるようになりました。

また、ラズくんは幼稚園のころから水泳と武道を、遊びくらいのゆるさで習っていたので「習い事のない日に宿題をする」という調整ができるようになったのもありがたかったです。
(習い事という名の「私のあがき」についてはまた記事にしたいです)

通級の先生から「宿題の期限に幅をもたせる」という提案は無かったので、本当にたまたまか、別の保護者達からの要望も受けての改善とかだったのかもしれません。
ひょっとすると、縛りプレイをしがちな私たち親子が勘付かないよう配慮された配慮だったのでしょうか。(深読みしすぎ?)

どちらにせよ、「この宿題の出し方を続けて欲しい!」と思ったので、すぐに担任の先生に伝えることにしました。
偶々だったら、また戻ってしまうかもしれないですし^^;

当時読んでいた『「小学校で困ること」を減らす親子遊び10(木村順)』という本に、「ポジティブ・クレーマーになろう」という項目がありました。
担任の先生に何かを要求する前に「ありがとう」と感謝の言葉を伝えると、発達凸凹のある我が子の、より良い理解者になってくれるだろう、というものでした。

これを読んで、2年生まで「すみません」と言ったことはあっても「ありがとう」とは口に出してこなかったことに気づいて、ハッとしたと同時に後悔しました。
2年生の時の担任の先生はもう他学年に行ってしまいましたが、次の担任の先生とお話しするときは、絶対に感謝の気持ちを伝えるようにしよう、と思っていました。

そこで、「宿題の期限にゆとりをもたせてくれたことで、ラズくんが楽になり本当に感謝している。今まではこんな状態で困っていたけど、こんな風に変化があって嬉しい」と、ラズくんの様子と一緒に、感謝の気持ちを前面に出して伝えました。

そこからは卒業までずっと、宿題の提出期限までに数日設けられることになりました。

関わった先生に「ありがとう」と伝えることは、この一件から特に意識するようになり、担任の先生とはずっと良好な関係を築けていると私の方は思っています。
この本は大切なことを気づかせてくれました。

宿題とは少し話が変わるのですが、
思い返したら「決められた期限まで、ゆとりを持たせるように意識する」という工夫は、気持ちの切り替えが苦手なラズくんに、小さな頃から声がけとしてやってきたことと共通している部分があるな、とふと気付きました。

「楽しい遊びを切り上げるために、30分くらい前から少しずつ予告しておく」ということです。
これは、ママ友さんがこの方法で声がけしているのを見て、私も取り入れてみたやり方です。

「時間まであと30分くらいだよ。あと15分だよ、そろそろ収束に向けていってね」と予告し、その後も「あと10分だよ、そろそろ片付けよう。あと5分だよ、ほらもう片付けないと」という具合にカウントダウンしていきます。

それでも、気持ちを切り替えるのは容易ではなかったため「決めた時間から更に15分くらいは遅れる」という「調整時間」も、意識的に見積もっておくようにしていました。

お友達の家にお邪魔したとき、「ラズくんがなるべく不機嫌にならずに遊びを切り上げさせ」かつ「なるべくスムーズに、約束の時間から大きく遅れずにおいとまする」ために始めたことでしたが、このやり方は、塾に入ってからも、休憩時間を切り上げる時に使っていました。

もちろん、それでもうまく切り替われないこともありましたが、不思議とこの手法を使うと、私もイライラがおきずに冷静でいられたので助かりました。


②量への抵抗感

4年生の夏休みの宿題に、ドリルが1冊出た時、ラズくんは「こんなに沢山出来ない」と先生に訴えたそうです。
「毎日1ページずつやれば終わるよ」と声をかけたら納得していた、というお話が担任の先生からありました。

このように、出された課題に重量感がある場合、自信の無さや、抵抗感が大きく膨らみ過ぎてしまい、取り掛かる前の障壁となってしまうことがよくありました。
そこで、例えば計算問題がズラッと並んでいたり、ビジュアル的に圧倒されてしまいそうな場合「半分だけやってみて」などと言うようにしました。

半分でも嫌だ、と言われたら「じゃあその半分で」と、条件をどんどん、気前よく下げていきます。
拒否反応が薄れてきた感じがあったら、すかさず「そこだけやったら、とりあえずもうやらなくていいよ」と言うとほぼ100%、すんなりと取り掛かれました。
「……じゃあやろうかな、ほんとにこれだけだよ」と渋々始める時もまれにありましたけれど。

ですが一旦取り掛かってしまえば、大抵はエンジンがかかってきて「もうちょっとやろうかな」とか、「あと少しだから終わらせようかな」となりました。

「あと少しだけやっちゃう?」
「あれ? もう少しじゃん、どうする? 頑張ってみる?」(←雰囲気が怪しい場合)のように、表情を見ながら促すこともありました。

このやり方は、塾の宿題でもちょくちょく使いました。
小学校の宿題なんて芥子粒のように思えるほどの、ヘヴィー級のボリュームでしたが😅応用は可能でした。
全体量から、さすがに「最初の数問だけやってみる?」は無いので^^;
30分だけやってみる? などに変えたりしましたが、その間は隣について、解いている数字を一緒に目で追ってあげました。

ラズくんにとって荷が重い課題に取り組むときに、ペン先を一緒に追いかけ、一問解いたら「はい、じゃあ次行こう、次なんて書いてある? うわめんどくさ! でも一つ一つは普通の計算でそれが繋がってるだけだから大丈夫、一つ目を解こう、まず何からする? そう、カッコを外そう。●×●だから?」などと声をかけたりすることで、
かなりへこたれないで済むのだということに気がつきました。
「見た目に圧倒され怯む隙を与えずに、ドンドン進ませる」感覚でしょうか?
追い立てるというより、「立ち上げの動力を隣で補う」つもりでつきそいました。
(もちろん、ラズくんが軌道に乗ったら離れました。あと、また記事にするかは分かりませんが、四則混合のような煩わしい計算問題は「最小限を毎日」に留めました)

大人でも多くの課題を前にすると、嫌になったり、現実逃避に走ったり、本当に終わるのかと怖くなったりします。
高校生や大学生でも、たとえ試験前だとしても、気分が乗らないときは漫画を読んでしまったり、部屋の掃除を始めてしまったり、などという話は普通によく聞きます。

そう考えると、10歳くらいの子供が一人で大量の課題に立ち向かうおうとする姿はとても健気で、打ち負かされたとしてもそれが普通で仕方のない事だと思えます。
もちろん一人で頑張りきれるお子さんはいるでしょうけれど「普通は頑張れないものだ」と認めてしまった方が、私自身の気持ちも楽になりました^^;

つい先日も、現在通っている中学校の課題の証明問題を解いていましたら「詰んだ!!」と投げ出したので、とりあえず隣に座って問題に目を通してみました。
私が「AB>ACである△ABCにおいて……」まで読み上げたところで「あーっ条件見落としてた!!」とバリバリ解き出しました。
私、まだ最初の一行も読み終わっていませんが……と思いながらも、後は解き終わるまで見守りました。

勉強面で私はもうほとんど用なしです。小学校5年生の後半あたりでもう算数は解けなくなりました^^;
ですが、ラズくんの場合「お母さんが隣に来るとなぜか解ける」と言ってくれるので、私が隣につくことの利点は、まだ少しはあるようです。
(隣に誰かがいると、冷静になれる、みたいな効果でしょうか?)

とはいえ、ラズくんがいくら幼くても、こうして隣に座れるのも、あと一年かな、二年いけるかな? などということと、それまでにはツールなどをうまく駆使しながら、自分の機嫌をとりつつそこそこ頑張れるようになれているといいな、と思いました。

小学校の宿題についての記事なのに、かなり話が逸れてしまいました。
そして全然大したことを書いていないのに、こんなにも長くなってしまいました。いつもですが……。
普通のご家庭では普通にやっていることなのかもしれませんが、もしどなたかの参考になればと、我が家の場合を書いてみました。

また一回切らせていただきます。
今回は、「宿題の期限と量」に関する話題でした。
次回の「漢字定着のための工夫」で最後になる予定です。
ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました。

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