小学校4〜5年生くらいのころ、息子は問題の答え合わせの時に「×(バツ)」がつくと途端にバン!と机にペンを置き、「もういやだ!」と勉強が手につかなくなることがよくありました。
また、先輩ママさんのお話を聞いたり、中受経験者の友人の思い出話をきいていると、発達凸凹があるなしに関わらず、同じような悩み・経験を持っている人が、意外と多いことを知りました。
子供部屋から叫び声が聞こえたり、ガンガンと大きな音が響いてきたり、机にシャープペンシルの先で傷つけた跡があったり……です。
まだ成長過程にいる子供の受験には様々な悩みがつきものですが、今回はその中のひとつ、我が家もぶち当たった「勉強とイライラ問題」について、
まずは「息子の発達凸凹特性としての『感情のコントロール問題』が解決するまでの道のり」、
そして「問題を間違えて×(バツ)になった時のイライラを回避すべく、我が家が行っていた工夫」を、実体験をもとにして書かせていただきます。
感情のコントロールに苦しんだ小学生時代
まずは息子の「感情のコントロール」について、我が家の辿って来た道のりを書かせていただきます。
以前の記事にも書きましたが、息子は「勝ち負けにこだわる」という一面が特性としてありました。
チーム対抗の大縄跳びや球技など、勝敗がハッキリと決まるゲームやスポーツを「拒否したり、逃げ出す」という行動をとることが多かったです。
数人で遊ぶゲームで「一位に賞品が出る」と聞いた途端に逃げ出したこともありました。
通級に通うようになって、それが特性からくるものなのだと知りました。
また、感情のコントロールが難しかったことが、小学校での様々な活動の妨げになっていました。
たとえば、校庭で太陽の光を鏡で反射させるという実験中に、人混みの一番後ろにいた息子はうまく光を反射させられず、イライラして地面を蹴っていました。
その後の時間もずっと独りで怒っていて、先生の話など全く耳に入っていなそうでした。
当時私はPTA役員などで頻繁に学校へ行く機会があり、そういった場面にちょくちょく遭遇していました。
5年生くらいまでは、このような「感情のコントロール問題」にずっと悩んでいて、通級の先生にも度々相談していました。
すると、感情のコントロールが難しい子には「失敗したら深呼吸をする練習」などを行っていることや、「脳が成熟するとだんだんと収まってくるものですが……」という言葉とともに、イライラを解消するグッズを紹介してくれました。
「えー、そういうものなんだ……」と、何か目覚ましい解決法があるのではないかと勝手に期待していた当時の私は、落胆しました。
ですが、やり過ごしたりぶつかったり、あがいたりしながら時が経過するうちに、ある日「あ、本当になくなってる!」ということに気づいたのでした。
「昔はよく怒ってたでしょ? 今はそういう感情はないの?」という問いかけを時々息子にしますが、「今はほとんどイライラとかしない」のだそう。
もちろん、ただ「成長を待った」だけではなく、
通級の個人指導でも「自分の気分や感情を数値で表したり、なぜそのような感情になっているのか書き出したりして客観視」する練習をしてくださったり、「相手の事情を推察する」SSTをしてくださったり、また、手を貸したり励ましたりなどハードルを低くし「成功体験を積ませ自己肯定感を作ったり」と、小さな取り組みを積み重ねてきた結果でもあると思います。
そして私の方は、校庭での鏡の実験も含め、息子が怒った場面の状況を「解説」するように意識してきました。
「それは確かに嫌だね」と怒りの感情が湧き出たことを認めながら「でも人が大勢いる場面では、思うようにいかないことって結構よくあること」ということと、「そこで地面を蹴ってしまうと、見た人に怖いと思われるよ」と説明しました。
ラズくんはなかなか納得できませんでしたが、気付くたびに、こうした「解説」は続けました。
このように「感情のコントロール問題」は、短期間でスパッと解決するような類いではありませんでしたが、
「絶対にこないだろうと思った、癇癪がなくなる日」は、通級の先生の言った通りに本当に来ました。
今の息子の落ち着いた状態を、先が見えず悩んでいた過去の自分に見せてあげたいです。
怒りのコントロールに関する書籍のご紹介
怒りやイライラのコントロールについて、我が家が参考にしていた本をご紹介いたします。
通級で学んだことと同じようなことも書いてあります。
《子供向け》

もうふりまわされない!怒り・イライラ
名越康文(監修)日本図書センター
★怒りのメカニズム、コントロールテクニックの紹介、怒りを客観視して数字に表す、アンガーメモを書いて自分の考えの癖を知る、など、漫画を交えて子供向けに解説されています。
すぐにはうまくできないけれど、感情のコントロールは大人にも難しい。すこしずつ上手になろう、と子供の気持ちに寄り添う内容になっています。

楽しくわかる! 体のしくみ からだ事件簿
坂井建雄(監修) ダイヤモンド社
★怒りに関するページは10Pほどですが、怒りはアーモンド一粒大の扁桃体が引き起こしていることと、扁桃体のある位置も描いてあるので、自分の感情を少し俯瞰して見れる材料になるかもしれません。
こちらも漫画が中心で読みやすいです。
《親向け》

親子でいっしょに「イライラ」をやっつけよう!
発達障害の子の「イライラ」コントロール術
有光興記 (監修) 講談社
★子供の話をまず聞き、親子で対処を考え、最終的に感情に振り回されないための対処法に取り組む、というステップで、子供のタイプ別の問題行動例とともに解説されています。
問題に向き合おうとする親の気持ちを楽にする「親の気持ちの整え方」、「子供に対する言葉の使い方」など情報が多く、発達凸凹子育てに限らず有用だと思いました。
勉強中にイライラしていた息子と、ともに過ごしていた物
次に、息子が勉強中に使っていたものと、試したものをご紹介いたします。
これを使ってイライラを撃退した! というものではなく「成長過程に寄り添っていた」ものです。
スクイーズ
通級で紹介されたものです。画像のものを使う前に2つくらい使っていましたが、破れてしまいました。
最初の二つは、通級で教えてもらった後100円ショップに直行し買って帰ったものです。
効果がすぐに感じられることを期待してしまったのですが、「ぎゅっと握ってスッキリ!」と単純にはいかず、何となく触って気を紛らわせていたような感じでした。
写真のカエルとイモムシのスクイーズもお尻が破れましたが、直して欲しいと言われて糸で縫いつけました。 ボロボロの写真でお恥ずかしいです……。

汚れているし、中身のビーズが縮んでいるのかスカスカだし、なんだか気持ち悪いのですが😅どれも捨てたくないと言うので、子供部屋にずっと飾ってあります。。
くまモン マネしておしゃべりぬいぐるみ
このぬいぐるみは小さな頃から気に入って持っていたものですが「イライラして怒りまかせの言葉が出た時に、このぬいぐるみが再生して笑いに変えてくれる」というような紹介をしている記事を読んだので、試しに使ってみたところ、「バカにされてるみたいで余計にイライラする!」と怒っていました。笑
我が家ではイライラ対策には使えませんでしたが、こちらもご紹介させていただきます。

これらとは別に、息子には「勉強の合間のリラックスグッズ」もあり、特に6年生の直前期、時間が無い中での気持ちのリフレッシュに効果がありました。
6年後期には、イライラ問題はほとんどなくなっていたので、「気分転換グッズ」としてまた別の機会にご紹介したいと思います。
『×(バツ)になると負けたように悔しい!』間違えを「敵」にしないための2つの方法
「×(バツ)が負けたように悔しい!」とは、癇癪を起こす息子に「なぜそんなに怒るのか」と訊ねてみたら返ってきた言葉です。
「そんなことを感じているのか」と驚きました。
テストや練習問題の丸つけは、「正解(勝ち)か不正解(負け)か」ではなく、「まだ定着していないものをあぶり出すための作業」で、大切なのは⚪︎よりもむしろ×です。
そのことを何度も何度も説明しますが、なかなか息子は感情がついていかず、苦労しました。
「悔しい」がバネになってその後の頑張りにつながる、という話もよく本などに書いてありますが、息子がそう思えるようなレベルにまで成長できたのは、6年生になってからでした。
それまでは「悔しさ」に振り回されて集中どころか「もうやらない! やめる!」と大騒ぎでした。
バツで不機嫌になるのは主に以下の時でした。
・テストの結果が悪かったとき
・×が沢山あるとき
・嫌いな暗記系で覚えられず×になるとき
このような時に、手がつけられない状態になりました。
(×が少ない時、テストの結果が良いときは気分良く直しができました😅 それは大人も一緒ですね(・_・;)
そこで、我が家では以下のように工夫して「×がついたときのイライラ」をやり過ごしていました。
間違えを敵にしない工夫①
「そもそも×をつけない」
下の画像は中学生になってからのノートですが、ご参考までに……。
息子は「問題の写し間違え」などが頻繁にあったりするので、計算問題を沢山解く時は、親が事前に問題をノートに写していました。
この作業は、息子の労力軽減のために、小学校のときもよくやってあげていました。
(入試で「問題を写す」という作業はないので)
×とは関係ないのですが、これも「イライラ軽減のために親がやったこと」のうちの一つです。
×のお話に戻しますが、息子の雰囲気が怪しいときは、×をつけないようにしていました。
または、×をつけないように指示しました。
ケアレスなどは「ケアレスってことは解き方分かってたんだよね? じゃあ丸みたいなものだよ」とその場で直しをさせて⚪︎にしてしまっていました😅
そうでもしないと、「○か×か」ばかりに比重がいってしまうので……ミスの原因がうっかりなのか、理解していないのかがわかりさえすれば対策ができるので。
画像では青丸ですが、赤丸にしてしまう時もよくあります。
(ケアレスの問題も根深いのですが、またの機会にまとめようと思います。)
そして「間違えた番号にチェックして」と言うか、息子の雰囲気(機嫌や大変さ)をみて、私が蛍光ペンなどでチェックしました。
チェックは「解いたノート、問題、解答」全ての問題番号にしておくと、後から振り返りがスムーズです。

小学生の頃は、「テストじゃなくて良かったじゃん!」とか「テストの前にこの問題出てきて良かったね〜!」と×の代わりに♡をつけたりしました。
テストで×だった時は、「入試じゃなくてよかったじゃん!」など、もっと大事なテストを引き合いに出しました。
「恥ずかしいから提出するノートに♡はやめて!」と言われたので、⭐︎マークにしたりもしました。
間違えを敵にしない工夫②
「間違えをスパイに見立て、スパイ探しゲームに」
この方法は、息子が「苦手意識を持っていた暗記系、または毎週の漢字小テスト対策時」によく使いました。
ノリのいいお母さんと、幼いタイプのお子さん向けの方法かもしれません……。
例えば……
以前アップした「漢字の定着方法について」の記事に出しましたが、なかなか定着しなかった「議」という字を何度も間違えてイライラしていたとします。
私「(漢字をペンの先で指しながら)議がこう言ってるよ。
『わっはっは! 予想通り手こずっているな! どうやら俺がスパイだと気づいていないようだ』
ホラ、次のテストでスパイを見破って追い出そう!」
という感じに、覚えられない漢字がラズくんを陥れるための「スパイ」で、「正解することでスパイであることがバレる」というゲームにしました。
スパイを見つけたら、スパイは洗脳されて、他の覚えている漢字と同じ「仲間」の一員になるという設定です。
他にも怪しい漢字があったら
『ブルブルブル、まさか気づかれてないだろうな……』とか、それぞれセリフを言い、
「次は間違わずに書いてやろう!」という気分を盛り上げます。
正解したら、『ぎゃー! バレたああ! もう少しだったのに〜!』
など、大袈裟な声で演技すると大喜びしていました😅
ちょっと疲れますが😅、我が家はこれで気分良く勉強ができていたので、どなたかの参考になればと思い(なるかな💦)、書かせていただきました。
癇癪に付き合うのは疲れますが、ゆっくりとゆっくりと成長していたようで、気づくと息子のイライラは無くなっていました。
親子バトルに悩んでいるご家庭に、気持ちよく勉強できる時間が少しでも増えますように。
コメント
いつも、非常に参考になるブログをありがとうございます。我が家の凸凹君も、似たような状況が見られます。さっそく我が家でも取り入れてみようと思います。それにしても、凸凹くん母さんの忍耐力、精神力には感服します。私も見習って、日々頑張りたいと思います。これからも宜しくお願い申し上げます。
コメントありがとうございました。
少しでも参考になる部分があったら嬉しいです。
また、いつもあたたかいお言葉をありがとうございます!
私はいつもちゃんと見れていたわけではなく💦やれる範囲で見ていました。
papapa1005さんのご家庭でも受験されるということでしたら、長期戦ですのでお父様もご無理のないように……。
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします😌